フィリップ ブーズローは2015年産より当店で取り扱いをしており、高騰するブルゴーニュワインでありながら良心的な価格のワインを生産しているムルソー村の生産者です。2017年産の同じ銘柄もブログにて掲載しておりますのでご覧くださいませ。
早速試飲してみました。
・Meursault Les Narvaux 2019(ムルソー レ ナルヴォー)
画像の左が旧ラベルで右が新ラベルです。
グラスに注ぐとムルソーらしい芳醇な香りがあり流石ムルソーだなと浮かれてしまいますが、観察していくとシャブリを思わせるような緑がかった黄金色の色調に、すりおろしたリンゴ、白桃、杏などの果実味、鉱物的なミネラル、バニラやナッツなどのクリーミーなニュアンスの香りがあります。開けたては還元的な石油系の香りもありますが香りが上がっていない訳ではなく、若いヴィンテージですのでこれもまたワインかなと思います。
口に含むと香りの同様のニュアンスがあり、フレッシュで瑞々しく中身の詰まった味わいです。また、余韻の程よい酸とアクセントとなる苦味が芳醇なワインに複雑味とメリハリを与えています。
上部に掲載している同銘柄の2017年と比べると、抑制効いた現代的なムルソーのスタイルに近くなっている印象ですので醸造も2017年とは違う気がします。マニアックな話ですが具体的にはワインの酸がコハク酸の比率が高く、リンゴ酸に比べて酸は穏やかですが苦味が出ている感じです。ワインの苦味が出る要因は色々とあるのですが、厳格なリュットレゾネでの栽培、天然酵母での発酵や新樽率を抑えた醸造をしている事を考えると残るは酸かなと思います。
ブルゴーニュグラスで7℃と冷たい状態でスタートしましたが、冷たい状態でも嫌な感じなくムルソーというアペラシオンを感じさせてくれるワインになっています。15℃くらいまで温度が上がっていくと次第に柔らかさが出てきますが、ムルソーの芳醇なスタイルをミネラルのカチッとした骨格が抑制しておりスタイリッシュなスタイルのままお楽しみいただけます。
食事との相性は?
今回は真鱈のトマト鍋(和風だしベース)に鶏肉のつみれも入れて合わせてみました。
トマトの酸味や和風だしベースの旨味、野菜の甘味などとワインがよく合っており、ワイン単体の時に感じる余韻の苦味が良いアクセントとなって食事が進む組み合わせです。また、ワインを冷たい状態から始めたのもあって温度差も楽しみつつワインと食事を楽しめました。
2日目は豚丼と味噌汁、大根とちりめんじゃこ、スナップエンドウの中華風サラダと合わせてみました。
試飲の初日はなんとなくで開ける事が多いのですが、2日目以降は家庭料理の範囲で合わせられるようにしています。今回も豚肉の油分と甘味、味噌のコク、ごま油とお酢の味付けなどいずれの料理ともよく合っていて楽しい食卓になりました。
魚介類や白身肉との組み合わせが容易に想像出来ますし、醤油や味噌との相性も良いので和食、中華とも気軽に楽しめそうです。また、バターやクリームを使ったソースとも良さそうな感じです。
まとめ
ムルソーというとブルゴーニュ地方でも有名なワインの銘柄だけあってその芳醇でリッチでふくよかなイメージが先行しがちですが、時代と共にそのスタイルも変わっておりフィリップ ブーズローも変革期なのかもしれません。ただそれは悪い事ではなく、料理も伝統的な重たいものから軽さのあるものに変わっておりワインのスタイルも同じなのかなと思います。是非食事と共にお楽しみくださいませ。
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