バローロ最北のヴェルドゥーノ村のスター

ソムリエ日記

最近入荷したFratelli Alessandria(フラテッリ アレッサンドリア)について御紹介したいと思います。バローロの生産者と聞いて真っ先に名前の挙がる生産者ではないので日本ではマイナーなのかなと思っていましたが、ピエモンテ地方でも一部で有名なローカルスター的な位置づけっぽいです。

Fratelli Alessandria(フラテッリ アレッサンドリア)

バローロエリアの最北端に位置するVerduno(ヴェルドゥーノ)村で1800年代初頭に始まったワイナリーで、現在のアレッサンドリア家が1870年に取得してから家族経営で現在までワイン造りを行なっています。「偉大なワインは偉大な畑から」を信念に栽培はサスティナブル農法で行われ、ステンレスタンクでの発酵や伝統的な大樽での熟成など新旧のメリットを活かした醸造により、若い内は近づき難いという古典的なイメージのバローロとは一線を画すバローロを生産しています。

また、フラテッリ アレッサンドリアのフラッグシップであるMonvigliero(モンヴィリエーロ)は「この畑のポテンシャルを理解した第一人者」と称賛され、「ピエモンテの知られざる秘宝。特筆すべきは価格が品質に追い付いていないこと」と高品質であることに太鼓判を押している専門家もいます。

Barolo Verduno 2018(バローロ ヴェルドゥーノ)を試飲

フラテッリ アレッサンドリアのバローロの中でスタンダードの銘柄であり、拠点のあるヴェルドゥーノ村のネッビオーロから造られたバローロです。

グラスに注ぐと鮮やかなルビーの色合いで、普段試飲する事の多いブルゴーニュワインと比べても淡い色調です。急遽試飲をする事を決めたので冷たい状態からのスタートでしたが、そんな状態でもサクランボやフランボワーズなどの果実、スミレやメントールのような爽やかなニュアンス、アーシーな香りなどが感じられます。

口に含むと瑞々しい赤果実のピュアな果実味、スパイスや腐葉土など複雑味のある味わいがあり、その後には滑らかで力強いタンニン、酸の伸びなど若々しさも感じられます。味わいの余韻が長く、最終的に2018年らしい完熟果実の甘さのある既に全体のバランスが良いバローロです。

このヴェルドゥーノという土地はフレッシュでエレガントと言われますが、フラテッリ アレッサンドリアは正にヴェルドゥーノを体現できる味わいです。

今回はグラスの口径が広いブルゴーニュグラスで試飲をしましたが、結構このグラスには合っていたと思います。ネッビオーロにはブルゴーニュグラスが良いと聞きますが、やはり14.5%のアルコール度数がありますので口径の小さいブルゴーニュグラスですとアルコール感を強く感じてしまうかもしれません。それであればボルドーグラスがお勧めです。

おでん×バローロ

いつもの事ですが試飲に合わせて食事を用意する訳ではないので、「おでん×バローロ」というなんとも無理がありそうな組み合わせとなりました。ただこれでは流石に…と思い、おでんの出汁を濃くして牛肉とジャガイモを煮ましたが、結果コレが正解でした。

煮込んだ甘辛い味わいの牛肉+芥子の組み合わせがエレガントさのあるバローロとよく合い、同じく煮込んだジャガイモともなんだかいい感じです。不思議なもので1度馴染んでしまえば、あとは大根であろうがこんにゃくであろうがなんとなく違和感なく進んでいきました。

バローロの一般的なイメージでは若い内はもっと渋くて酸っぱくて飲みづらいと言われますが、フラテッリ アレッサンドリアのバローロはおでんと合わせても馴染んでくれながら、ピュアな果実味や力強さも楽しめる素晴らしいバランスです。

まとめ

正直2018年という天候に恵まれたヴィンテージでリリースされたばかりという事もあり今後を見越して試飲くらいに思っていました。

確かにバローロの規定的にはリリースまで3年かかり、今回のバローロ ヴェルドゥーノに関してはスラヴォニアオークの大樽だけでも36ヶ月(3年)熟成させていますので、感覚的にはリリースされたばかりの新しいワインですが、試飲をしてみると完熟した果実がエレガントにまとまって今からでも十分に楽しめる味わいで、よく考えると5年経った落ち着いているワインとも言えるのかぁ…と不思議な感覚でした。

ネッビオーロでエレガントなスタイルというとブルゴーニュ的な…と聞きますが、そういう意味では明らかにブルゴーニュ的ではではありません。ただ、美味しいワインである事は間違いありません。フラッグシップであるモンヴィリエーロを始め数銘柄入荷していますが、インポーターさんでは既に在庫完売らしいので気になる方はお早めにお試しくださいませ。

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