明けましておめでとうございます。というには日が経ち過ぎているかもしれませんが、2022年のワイン初めに楽しんだ長野ワインのご紹介をしたいと思います。
いにしぇの里葡萄酒
長野県塩尻市北小野にある「いにしぇの里葡萄酒」というワイナリーがあります。いにしぇの里葡萄酒は、2017年に造り手である稲垣さんが北小野地区にある実家の敷地をワイナリーとして開設した比較的新しいワイナリーで、ワイナリー名「いにしぇの里葡萄酒」は、フランス語の「initie(イニシェ・はじまり)」と、古い時代をあらわす言葉「古(いにしえ)」からインスピレーションを受けているそうです。
このワイナリーの造り手である稲垣さんは少し変わった経歴の持ち主で、2006年から2021年まで長野県塩尻駅付近で「ブラッスリーのでVin」という飲食店をされており、2014年に塩尻市が「塩尻ワイン大学」を開講すると第一期生としてワイン造りを学び2017年に「いにしぇの里葡萄酒」を設立、2021年までは飲食店とワイナリーの両方の運営を行なっていたそうです。
いざ試飲!!
今回試飲するのは、いにしぇの里葡萄酒の初リリースとなるfamille series(ファミーユ シリーズ)で、実の母親の名前を冠した今現在のフラグシップワインです。
・メルロー&カベルネ・フラン「邦」2018 Cuvee Kuniko ~キュベ・クニコ~
シックなエチケットに蝋キャップ、ワインを美味しく飲んで欲しいという造り手の思いを感じられる取り扱い札にも期待が高まります。
取り扱いの札にも書いてあったようにデカンタをしてから試飲スタートです。
いにしぇの里葡萄酒のワインのイメージ、デカンタや大きいグラスの推奨、販売価格、初のフラッグシップワイン、色合いの印象など、さぞパワフルなワインであろうと想像していたのですが、思いの外閉じて控えめな香りに肩を透かされながらのスタートでした。
口に含むとプルーンやブラックベリーなどフレッシュな甘みのある黒果実に仄かなクリーミーさがあり、酸の存在感も感じられる軽さとエレガンスを含んだ味わいです。また、おそらく火山性土壌だと思われるモヤがかかった様な印象とスモーキーかつスパイシーなニュアンスがあり、どことなくシチリア島のエトナのワインが思い浮かべられました。今度造り手の稲垣さんに土壌構成を聞いてみたいものです。
ーてな訳で実際にお聞きしたところ、
北小野は表層的には黒ボク火山灰土です。50cmより下になると赤土が出てきますけど。
畑裏の霧訪山に石灰岩の採掘所があるのでその影響もあると考えています。
とのご返答をいただきました。(やったー!!考察が当たっていました。これが楽しいんですよね。)
稲垣さんありがとうございました。
今回は18℃でスタートしましたが、このくらいの温度からがバランスの良い感じです。また、最初はボルドーグラスで飲みましたが、ブルゴーニュグラスの方が香りや果実味も雰囲気よく感じられ余韻の酸も気にならないので、今の状態ですとブルゴーニュグラスがお勧めです。
合わせた食事は?
今回はお年取り様に市場で買った鰤がまだ残っていたので、鰤大根と鰤カマの塩焼きにしてワインと合わせてみました。当初はいにしぇの里葡萄酒のイメージだときっとワインが強すぎるだろうなと思っていたのですが、存外エレガントなスタイルのワインだったので鰤大根でピッタリでした!また、この時期の鰤ですので脂がのっており鰤カマの塩焼きとも良い感じでした。
まとめ
このワインは2021年の年末から当店にあるせいか多くのお客様にどんな味?とご質問をいただいた皆様の関心の高いワインでもありました。まぁワイン王国というワイン雑誌で日本ワイン激選63本の1本に選ばれただけあってワインラヴァーとしては気になりますよね。
これは個人的な推測ですが、このワインは熟成すると果実味がセミドライの無花果のような柔らかい甘味(今現在でも遠くに感じられます)になり余韻も今よりずっと長くなると思います。また、今現在のスモーキーなニュアンスはコーヒーやほうじ茶のようなクリアで程よい状態になり、柔らかい果実味と合わさってシルキーで甘美なワインになりそうな予感がしています。何年後かなぁ~今から楽しみです。
いい価格ですので期待値がかなり高く、情報過多な方にとっては妄想が膨らむワインですが、お楽しみはこれからのワインだと思います。ポテンシャルは高いので安心して熟成を楽しみに待てる長野ワインって素敵だなぁ~
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