アントヒルファームが新入荷しました。

ソムリエ日記

タイトルにもある通りアメリカ・ソノマ州のAnthill Farms(アントヒル ファーム)が新入荷しました。当店としては珍しいアメリカのワインなのですが、インポーターの担当さんから吉平さんにきっと気に入ってもらえるはず…との推しがあり今回数銘柄仕入れをしてみました。

Anthill Farms(アントヒル ファーム)とは

アントヒル ファームは駆け出しの醸造家が3人が設立するという前代未聞のワイナリーで、当初は「上手くいくはずがない」と言われていましたが、人々の予想とは裏腹に初ヴィンテージの2004年から市場に受け入れられ高い評価を得ています。また、2011年にはワイン・アンド・スピリッツ誌で他の有名生産者と並び世界のトップ100ワイナリーのひとつに選ばれています。

ブドウ栽培はサスティナブル農法がベースとなり、一部の畑はビオロジック(厳格な有機農法)で行われており、設立当初は栽培面積も少なかったのですが現在ではメンドシーノ カウンティとソノマ カウンティの4つのアペラシオンまで広がっています。

ちなみにアントヒルは「蟻の丘」という意味で、3人の醸造家がタンクに集まる様子がブドウに群がる蟻に形容され、ワイナリー名とエチケットのシンボルになっています。また、3人の出会いがワイン造りを学んだウィリアム セリエムだそうで、だからピノノワールに定評があるのかなと思います。

インポーターのfiradis(フィラディス)さんのページリンクも張っていますのでご興味のある方はご覧くださいませ。

株式会社フィラディス(Firadis)
フィラディス(Firadis)はワインの輸入・卸を行う専門商社です。希少性の高いファインワインや、正規代理店であるクオリティーワインを取り扱っております。

Pinot Noir Anderson Valley 2019

アントヒル ファームを御案内いただいた際に一先ずはこれを飲んで欲しいとの事でしたので、他の銘柄より少し多めに仕入れをして1本飲んでみる事にしました。

このワインはアントヒルファーム代表するブドウ品種ピノノワールから造られており、アンダーソン ヴァレーのリール ヴィンヤードとセリーズ ヴィンヤードがブレンドされています。今回新入荷したワインの中で、シラーとこのピノノワール アンダーソン ヴァレーのワインはキャップシールの無いエコなボトルデザインとなっており、当店が何かした訳ではないので悪しからず。

試飲してみました。

開けたてから落ち着いたルビーの色合いで、よく熟したグリオットベリーやラズベリーの果実、植物のニュアンスや樽の甘い香りが混ざり合う複雑さのある香りに期待が高まります。

口に含むと充実した果実味が広がり、柔らかい酸がしっかりとワイン全体を支えています。余韻にはスパイスのニュアンスとドライなタンニンが広がり、余韻までしっかりとしたボリューム感と共に長く続いていきます。

今回は10℃からスタートしたのですが開けたてから果物の香りもしっかりと上がっており、味わいの面でも酸が立つことなくしっかりとお楽しみいただけます。

フランス・ブルゴーニュ地方のワインが好きな方にも気に入っていただけると御案内いただいた理由が分かる繊細さと複雑さの調和が取れている味わいですが、13.5%というアルコール度数ながらブルゴーニュワインとも違う温かみと後半のパンチ力があり詳しい醸造プロセスが気になるワインでした。

食事との組み合わせ

今回はちょっと豪華に鹿肉の炭火焼と合わせてみました。一度下味をつけているので焼いて塩を少し付けただけでしっかりと味が付いています。ピノノワールは鴨肉のローストやローストビーフ、鶏や牛肉の赤ワイン煮込みなどの組み合わせが定番で、今回も鹿肉という赤身肉の料理と合わせてみました。

鹿肉の持つ風味とワインの持つ果実味とスパイスのニュアンスが良く合っており、「定番」の安定感を感じられる組み合わせでした。

抜栓3日目

ワインは空気に触れることによって味わいが変わりますので、経過観察は大切だと思います。そこで抜栓3日目のものを試飲してみました。

抜栓3日目でも香りがしっかりと感じられますが、抜栓初日とは違い果実が中心です。また、初日には感じられなかったインクのような香りがあり、香りの面でも経過を楽しめます。ワインとしては初日の印象そのままに少し柔らかくなった感じですが味わいが落ちたという事は無く、日数が経過してもしっかりとワインを味わっていただけます。

今回はジャーマンポテトと合わせたのですがこれがまた相性が良く、ソーセージと合わせるとワインの果実味が強調されますし、じゃがいもと玉ねぎの組み合わせで合わせるとワインのスパイス感がアクセントとなって美味しく食事とワインを楽しむ事が出来ました。

まとめ

インポーターの担当さんにお薦めされて仕入れてみたワインですが、結果としてとても美味しくすっかり気に入ってしまいました。ブルゴーニュワインと比較されるみたいですが、まぁ…っぽいくらいですかね。個人的にはブルゴーニュワインより親しみ易さと扱い易さのある美味しいワインだと思います。初めての取り扱いという事もあり数量を少なめに仕入れてしまったのを今更ながら後悔しているくらい少ないですので、気になる方はお早めにお買い求めくださいませ。

ちなみに今回のアンダーソン ヴァレー以外にも色々な銘柄を少量ずつ仕入れていますので、こちらも併せてチェックしてみてください。

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