当店のある長野県もやっと春らしく暖かい日が続くようになってきました。そこで行楽の春にお薦めなシュナンブランから造られるロワール地方の白ワインをご紹介したいと思います。
まずは生産者のご紹介です。
Domaine Vincent Careme(ドメーヌ ヴァンサン カレム)
ヴァンサン カレムはフランス・ロワール地方ヴーヴレのブドウ栽培農家に生まれ、彼のワイン造りは14歳の時の祖父の手伝いから始まっています。その後はサンセールやアルザスなどのフランス国内、タイや南アフリカなど海外でも経験を積み、1999年にヴーヴレに戻りドメーヌ ヴァンサン カレムを設立しています。2007年にはオーガニック認証を取得、ヴーヴレを中心にシュナンブランから様々なタイプのワインを造り出しています。
Montlouis Sur Loire(モンルイ シュール ロワール)について
ヴァンサン カレム=ヴーヴレのような話をした後になんですが、今回入荷したワインはヴーヴレではありません。今回はMontlouis Sur Loire(モンルイ シュール ロワール)というロワール川を挟んでヴーヴレの対岸にある地域のワインです。
・Jumeau Montlouis Sur Loire 2013(ジュモー モンルイ シュール ロワール)
モンルイ シュール ロワールもヴーヴレと同じく品質の高いシュナン ブランの産地なのですが、如何せん影が薄い理由としてはヴーヴレで謂う所のDomaine Huet(ドメーヌ ユエ)のような超有名生産者がいない事もその原因かなと感じます。
ですがそのお陰もあり、実は品質が高いけれども良心的な価格で楽しめる狙い目の生産地域です。
ちなみにヴァンサン カレムも検索してもほとんどがヴーヴレのワインでモンルイ シュール ロワールを見つけるのが難しいくらいです。
早速試飲してみましょう!
2013年産という事で小麦色のような濃い目の色の混じった黄金色の色合いで、アカシアの花のような蜜の甘さや完熟したカリンの表面のワックスのような香りが感じられます。抜栓直後は控えめな中に果実というよりはその他の複雑さのある香りが主体です。
液体には9年の熟成を感じられるしっかりとした粘性があり、柔らかな口当たりとリンゴや洋ナシなどの凝縮した果実味が感じられます。9年熟成しているとシュナンブラン特有の鋭角的な酸も穏やかになっているのかなと思ったのですが、酸はまだ健在で余韻のスッキリとした印象をしっかりと保っています。
シュナンブランと言えば南アフリカも有名な産地ですが、今回のワインのように果実味の凝縮感はあるけれど品が良く出しゃばり過ぎず、鋭角的な酸を含めブドウ品種の特徴が分かり易い教科書的なワインはなかなかないのかなと思います。
また、今回は冷蔵庫でしっかりと冷やして6℃くらい、ボルドーグラスで試飲したのですが、この状態でも液体の粘性によってしっかりとした存在感がありますので、存在感はしっかりと、それでいて余韻の酸でスッキリとワインを楽しむ事が出来ます。勿論ワインの温度が上がっていったとしても余韻の酸がキリっとしていますので、だれることなくお楽しみいただけます。
食事との組み合わせは?
今回は春巻き2種、ビビンバ丼などセオリーではない組み合わせをしてみました。
春巻き2種はどちらも中華のよくある感じではなく、1つは前日のミートソースが余っていたのでそれを具にして、もう1つは豚ロース、大葉、梅肉、とろけるチーズを具にして揚げてみました。
ミートソースの方は苦味は出ないまでも合っているという様な感じではなく、一方の豚肉の方はピッタリ合っているという感じではないのですがミートソースよりは親和性が良かったと思います。ただ、一緒に食べていて嫌な感じは全くなく、寧ろ余韻の酸が揚げ物と合わせていて心地よかったので、合ってるとか合ってないとかより食卓にあると飲んでしまうような感覚でした。
次に合わせたのがビビンバ丼です。
味噌漬けの豚肉、野菜のナムル、キムチ、半熟卵といった内容のビビンバ丼だったのですが、これもピッタリ合っているというよりは存在感のある液体と鋭角的な酸が食事のアクセントになっていて、一緒に食べていて満足度が上がるという感じでした。
まとめ
ヴーヴレという有名産地に隠れたモンルイ シュール ロワールという地域ですが、品質が良く何よりシュナンブランというブドウ品種を体験するのにもお勧めの白ワインです。
また、ヴァンサン カレムを調べていただくとお分かりだと思いますが、モンルイ シュール ロワールの情報は少なくほとんどがヴーヴレばかりです。そういう意味では掘り出し物感もあり一層お楽しみいただけるのかなと思います。
長野県内にも桜の開花情報が出始め、いよいよ暖かな行楽シーズンの到来です。このシュナンブランは白身や貝類を中心とした魚介類や野菜・山菜、白身肉との相性が良く、最初にしっかりと冷やしておけばその後の運用性も良いのでこれから長い期間お楽しみいただければと思います。
是非お試しくださいませ。
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