気になっていたワインをやっと試飲しました!

ソムリエ日記

8月に気になって仕入れをしていましたがなかなか試飲するタイミングが合わずやっと実現しました。このワインを味わうと「アペラシオンとは?」という疑問を持たざるを得ません。まずはこのワインの造り手であるClarisse de Suremain (クラリス ド シュルマン)のご紹介です。

Clarisse de Suremain (クラリス ド シュルマン)

クラリス女史はフランスワインの銘醸地であるコート ドール生まれ育ち、祖父母をはじめ親戚はワイン生産者という環境にありながら2015年まではリヨンのコンセル ヴァトワール(フランスの国立高等音楽院)でピアノを学びました。ところが、卒業後にロワール地方でビオディナミ農法の有名生産者と知り合ったのを転機にワイン造りに舵を切り始め、2017 年にボーヌの醸造学校の醸造責任者コースを終えてシャブリやピュリニーモンラッシェの生産者の元で経験を積んだかと思えば2018年には自ら醸造したワインを初リリース、2019年からも精力的にアペラシオンを超えて栽培面積を増やしています。

現在は買いブドウと自社畑の両方からワイン造りをしていますが自社畑を増やす目標を持っており、ブドウ栽培はオーガニック農法でブドウを栽培する親戚を見て育った影響もあり化学肥料も除草剤も使用しない栽培を実践しています。また、2023 年に ECOCERT 認証を取得予定です。

Pernand Vergelesses 2019(ぺルナン ヴェルジュレス)

今回試飲するのはPernand Vergelesses 2019(ぺルナン ヴェルジュレス)です。

クラリス ド シュルマンのワインは蝋キャップでフタがされています。中には見た目でどうやって開けるのか分からず選ぶのを躊躇してしまう勿体ない方がいらっしゃるといけませんので、まずは開け方を簡単にご紹介します。

上の画像のように蝋の上からスクリューを差し込み、コルクを少し上げた状態で周りや上にある蝋を取り除いてください。そうすればボトルの中に蝋が入り込む事もなく綺麗に抜栓していただけます。

それでは試飲してみます。

しっかりとした色合いですので芳醇さをイメージしていたのですが、抜栓直後は意外にもミネラリーな酸を予見させる鉱物的な香りがあり、それに続くように蜜ののったリンゴ、パパイヤ、パイナップルなど暖かみのある果物、ナッツなどのクリーミーな香りが続きます。

しっとりとした口当たりで存在感があり、アルコールのボリュームと共に広がる果実味、クリーミーなナッツ、ふわっと優しく感じるキャラメルのような香ばしさのあるニュアンスがあり、余韻にはしっかりとした酸が感じられ、前半の凝縮感を下支えしてスッキリとまとめ上げています。

個人的にはしっかりとした酸のワインは好きなのですが、汎用性を考えるとこの高い酸をどう解決するかが課題なのかなと思います。高い酸のあるワインがお好きな方はそのままで美味しく召し上がっていただけますし、温度帯を高くするのも1つ、酸味のある果物や料理と合わせるのも1つだと思います。また、2019年というヴィンテージを考えるともう少し熟成をさせるとスッキリとした中に芳醇さが感じられる素晴らしいワインになるのではないかという期待も持てます。

この様に色々な楽しみ方が考えられる楽しいワインでお勧めです。またこれも個人的な興味ですが、醸造プロセスにも興味が湧く味わいです。

ちなみに今回は7℃、ブルゴーニュグラスで試飲をスタートしましたが、冷たい状態でも楽しめますし、温度が上がるにつれてしっかりとした酸とのバランスが良くなり、少し時間が経ったとしてもダレることなく楽しめる美味しいワインでした。

食事との相性は?

今回は秋の恵みが偶然手に入りましたので松茸入り鶏ちゃんこ鍋と合わせてみました!

鶏出汁をベースに鶏のつくね、鶏もも肉、野菜、そして松茸を煮て作っているのでポン酢などは浸けずお鍋のスープでいただきました。

そして〆は美味しいお出しを活かした雑炊です!

正直めちゃくちゃ美味しい晩御飯でしたが、一点残念な所は松茸単体とワインを合わせるとワインのフレッシュさがチグハグな感じで美味しさに浸れない…他はワインと共に楽しめたのですがそこだけですかね。

まとめ

アペラシオンはワインを選ぶ上で重要な要素だと思いますが、最近はアペラシオンというよりも生産者で選んだ方が良いワインに巡り合える気がします。そういう意味では高騰するブルゴーニュワインを選ぶ際に「マイナーなアペラシオン=苦肉の策」ではなく、生産者によっては中身にフォーカスすることでマイナーなアペラシオンでも必然と選ばれるのかなと思います。

試飲するまでに時間がかかってしまい在庫も心許ないのですが、気になる方は是非お問い合わせくださいませ。

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