無名だけど美味しいバルバレスコです!

ソムリエ日記

最近インポーターの在庫リストを見ながらいい値ごろのバルバレスコあるなぁ~と思いながらも、生産者も味も知らないで仕入れるのは怖いなぁ~と思いながら、取り敢えず1本仕入れて試飲してみました。

Manuel Marinacci(マヌエル マリナッチ)

ほとんど知られていないバルバレスコの生産地域であるアルバのサン ロッコ セノ デルヴィオにマヌエル マリナッチの所有する4haの畑があり、今回のバルバレスコはロッケ マッサルーポという単一畑のネッビオーロから造られています。ファーストヴィンテージは2004年で、伝統的な醸造法で樹脂製のタンクかコンクリートタンクで温度管理を行わずに発酵、スラヴォニアンオークの大樽で2年間熟成させています。

この生産者の珍しいところは、生産キャパシティの 1/3 しか醸造されず、数量でいえば 6000 本程度のみで、残りはブドウの状態で売っています。(ワインにしてバルクワインとして売らないところに醸造家としての信念が感じられ、好感が持てます!)

少し話は脱線しますが、マヌエル マリナッチのあるAlba(アルバ)はその昔はネイヴェ、バルバレスコ、トレイゾと共にバルバレスコの産地として認知されていましたが、今現在はトレイゾの一部となっています。そういう意味ではロッケ マッサルーポという単一畑は、アルバを表している希少性を帯びています。

今回はバルバレスコ リゼルヴァでリリースされていますが、通常はバルバレスコ アルバでリリースされており、2017年からは「バルバレスコ ロッケ マッサルーポ」と畑の名を冠してリリースされる予定だそうです。

早速試飲してみます!

・Barbaresco Riserva 2015(バルバレスコ リゼルヴァ)

今回はブルゴーニュグラスで試飲してみました。エッジがオレンジがかった深みのあるルビーの色合いに期待が高まりましたが、抜栓初日の印象は…全然香りが上がって来ないし、味わいも素っ気ないし、渋い…これはハズしたかも…と不安が過りましたが、数分後に杞憂となりました。

ブラックチェリーのような果実、八角などのスパイス、バラなどの植物のニュアンスも加わる複雑な香りがあり、透明感と熟度のある果実味と抑制の効いたボディ、まだまだ力強さの感じられるタンニンなどバルバレスコらしい柔らかさと力強さが発揮されてきました。また、力強さを支える伸びのある酸も健在でカチッとした印象の良いバランスでした。

経過観察

抜栓初日が控えめな印象だっただけに経過が気になり、2、3日経過観察をしてみました。

結果から言うと2日目と3日目はほぼ同じ印象で、スタートから香りも上がっており初日よりも全体的に硬さが取れ、ブラックチェリーに加えラズベリーやマンダリンオレンジなどの果実も感じられるようになりました。また、余韻にもタンニンの力強さはあるものの、じわじわと旨味が感じられ、初日とは違った印象ですが全体のバランスが良く保たれています。

一貫して透明感があり、2015年というヴィンテージが良いのか果実味とのバランスも良いので、何故に無名?と思ってしまう仕上がりです。

食事と合わせてみました。

今回はエビとホタテのフライにタルタルソースを添えてみました。当店の試飲に合わせる食事は特にワインに寄せている訳ではなく、たまたまワインを開けて時にこの食事だったという行き当たりばったりの感じなのですが、今回はタルタルソースが良い仕事をしており、ワインの持つ力強いタンニンを卵がうまくまとめてくれて果実味を食事と楽しめるバランスになっていました。

このくらいのワインのバランスですと、焼き鳥やオイスターソース炒めなどがワインの持つ力強さとスパイスのニュアンスを活かせるのではないかと思います。

まとめ

無名ですがしっかりと造り込まれており、果実味の透明感やスパイスのニュアンス、アルバもしくはトレイゾのバルバレスコらしさも楽しめるのにお値打ち価格という有難いワインです。しかも2015年のリゼルヴァって、もう飲んでみるしかないですよね!

数人で召し上がる場合はデカンタや大きいグラスでお楽しみいただくのがお勧めです。数日かけてお召し上がりいただく場合はデカンタはせず大きめのグラスでお召し上がりいただく方が、ワインの変化をしっかりと感じられて良いのかなと思います。

一応頑張って仕入れをしていますがお買い得なワインですので無くなってしまうかも?
気になる方はお早めにお買い求めくださいませ。

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