ドメーヌ ド ラルロのモノポールと変化について

ワイン情報

Domaine de L’arlot(ドメーヌ ド ラルロ)のモノポール(単独所有畑)であるNuits St Georges 1er Clos des Forets St Georges(ニュイ サン ジョルジュ クロ デ フォレ サン ジョルジュ)をテーマに2020年、2021年、2022年の3ヴィンテージの変遷をご紹介したいと思います。

ヴィンテージについて

まずは2020年、2021年、2022年の3ヴィンテージの概要についてです。
一言にブルゴーニュ・同一ヴィンテージであっても所変われば状況は変わりますので、大まかなヴィンテージの特徴としてお考え下さい。

2020年は春先の暖かさによって例年より発芽が早く、遅霜の影響もなく順調な滑り出しでした。例年より暑い夏となり干ばつや生育が緩やかになることもありましたが昼夜の寒暖差や8月から9月に時折降る雨によって酸が保たれ、凝縮度と酸のバランスの良い素晴らしい年となりました。

2021年は4月の春先の霜、6月の雨による病害などによる収量の激減、2015年以降最も涼しい気象条件などここ近年では異例となる年となりました。厳しい年を生き抜いた葡萄は、昨今の骨太なタイプではなく繊細でフレッシュさに満ちたクラシックなブルゴーニュワインの年となりました。

2022年は例年より暖冬となり4月は霜の影響がありましたが2021年ほどの被害はなく、その後は干ばつが起こるほど暑い夏を迎えます。8月の中旬に雨が降ったことがブドウの生育を助け、結果的に収量、品質ともに安定した素晴らしい年となりました。

Nuits St Georges 1er Clos des Forets St Georges(ニュイ サン ジョルジュ クロ デ フォレ サン ジョルジュ)

ドメーヌ ド ラルロの持つモノポール(単独所有畑)の1つであるクロ デ フォレ サン ジョルジュは、7.2haという広大な面積と35mもの高低差がある独特のブドウ畑を何世紀にも亘って1つの生産者が所有するブルゴーニュの中でも特別な銘柄です。広大な畑は上部のホワイト ウーライト石灰岩、中部のプレモー石灰岩、下部のラドワ石灰岩と土壌構成が異なり、醸造も3つに分けて行われそれぞれの特徴を活かしたワインが出来上がった後ブレンドされます。これにより複雑味のある力強いワインが生まれます。

ヴィンテージ毎の醸造の変化

2020年:全房発酵43% 新樽比率46% 樽熟成15ヵ月+ステンレスタンク熟成3ヵ月

2021年:全房発酵ナシ 樽熟成15ヵ月+ステンレスタンク熟成3ヵ月 ピジャージュナシ

2022年:全房発酵ナシ 新樽比率40% 樽熟成15ヵ月+ステンレスタンク熟成3ヵ月 ピジャージュナシ

Pigeage(ピジャージュ)
発酵中に生じる二酸化炭素ガスの力で漬け込んでいた果皮や種子、果肉といった固形分が液面に浮き上がってきたものを櫂(カイ)という長い柄のマッシャーの様なもので沈める、撹拌する作業です。ピジャージュの目的は、酸素の供給、成分・温度の均一化が主です。フェノール類の抽出効果があると言われてきましたが、最近の研究ではフェノール類の抽出に関しては行わない方がフェノール類の抽出量が多いそうです。

Whole Bunch Fermentation(ホール バンチ ファーメンテーション)
全房発酵と言われ葡萄を房ごと醸造する技法です。ブドウの果梗や粒のままの葡萄が含まれることで、複雑さのある香りや味わい、タンニンやストラクチャーがワインに生まれます。この技法にはデメリットもあり、生産者はそのリスクと恩恵を天秤にかけながら全房発酵の比率を調整していきます。

3ヴィンテージの比較対象

Nuits St Georges 1er Clos des Forets St Georges(ニュイ サン ジョルジュ クロ デ フォレ サン ジョルジュ)は新樽率や醸造段階の熟成期間が大きく変わらないので畑の区画と同じく共通部分としていいかと思います。

3ヴィンテージの比較対象ですが、まず2020年は全房発酵・ピジャージュを行っており、2021年と2022年は全房発酵・ピジャージュを行っていないという違い。

続いて2021年と2022年はヴィンテージによる気象条件の違い。

最後に2020年と2022年は近しい気象条件ですので、醸造方法に加え熟成による味わいの違い。

以上のような違いが楽しめる比較になるかと思います。

まとめ

ブルゴーニュ地方では同じ畑をいくつもの生産者で分けて所有することも一般的ですし、今回のモノポール(単独所有畑)のように1つの生産者だけが所有する特別な畑もあります。その中で深い理解力を得るには同時に試飲することが実は効率が良いと思います。勿論ただ単に何でも並べて試飲するのではなく、同一生産者・同一ヴィンテージの銘柄違い、同一畑の生産者違い、同一生産者・同一畑のヴィンテージ違いなど、共通点を作ることで相違点が分かり易くなるので理解力が一気に高まります。

少しマニアックな内容ですがマニアックな内容なところに楽しさがあったりします。ですが…こんなワインで飲み比べ出来る方は贅沢過ぎますね!是非お試しくださいませ。

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